コンカレントトレーニング

HIITと筋トレの組み合わせはどのようにすればよいかという質問が質問箱に届いたのでブログ投稿にて答えていきたいと思います。

基本的にはお世話になっているHIITの教科書的な書籍を参考にして説明していきたいと思います。また、補足で検索したらヒットした良さそうなサイトも参考にしております。

www.amazon.com

gcperformancetraining.com

私自身は筋力トレーニング自体していないので、全て情報をまとめているだけです。

年齢、性別、競技年数、回復力など個人の特性の差があり、記載している内容が読者の経験と合わないこともあると思いますが、統計的な話ですのでそこを踏まえて読んでみてください。このような知識を個人ベースに落とし込むのがコーチの仕事だと思います。

前置き長くなりましたが、説明していきます。

 

 

 

 

コンカレントトレーニングとは?

 筋力トレーニングとサイクリング、ランニングなどのaトレーニングを組み合わせたトレーニングのことです。今回は質問が来ている筋トレとHIITとの組み合わせについて説明していきたいと思います。

 

持久力トレーニングの利点

コンカレントトレーニングとはいってもパワーゾーンによって異なる適応をもたらすということはなく、以下の表のように鍛えられる能力に変わりはないです。しかし、持久力トレーニングは筋力トレーニング悪影響を与える可能性があります。この悪影響を『干渉効果』といい今回の記事のポイントとなります。

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参考文献:ハンター・アレン アンドリュー・コーガン博士共著・『パワー トレーニング バイブル』

筋力トレーニングの利点

こちらについては南部さんのブログによくまとまっているので読んでみてください。筋肥大による最大筋力の増加、神経筋強化、怪我の予防がサイクリストとしては重要なポイントかと思います。最大筋力の増加、怪我の予防などは高強度トレーニングで追い込む上での重要な要因ともなりますので、私自身はサイクリストにとって有益という立場です。

※有益というのは最効率とかそういう話ではないので注意してください。

hiroakinanbu.com

 

干渉効果(トレーニングの相互作用)

このトピックでは筋力トレーニングと持久力トレーニングがそれぞれどのような影響を与えるのか説明します。

筋力トレーニングが持久力トレーニングに与える影響

よくわかっていない部分が多いです。

筋力トレーニングにより神経筋疲労は発生しますが、それが持久力トレーニングにどの程度悪影響があるかはあんまりわかっていません。

高強度で踏む場合は神経筋疲労により最大パワーと全体的にこなせる量(作業量)は低下することはわかっていますので、神経筋への寄与が高いトレーニングに対して悪影響が出やすいというのが最低限言えることです、 

持久力トレーニングが筋力トレーニングに与える影響

持久力トレーニングへの影響は断言できない反面、筋力トレーニングに対しては悪影響というのが一般的に言われているところです。

※影響ないという論文もあるにはありますが一般的には悪影響ありです。

これは持久力トレーニングにより、神経筋疲労の蓄積により急性的に筋力トレーニングに悪影響があることに加え、ピンと来ないと思いますが慢性的にも実のところ悪影響があります。

これがコンカレントトレーニングにおける考慮すべき点です。まずはそれぞれ急性効果、慢性効果の内容について見てみましょう。

 

急性効果と慢性効果

干渉効果は2種類あり、急性効果と慢性効果と呼ばれるものがあります。それぞれ説明していきます。

急性効果

急性効果とは、持久力トレーニングにより神経筋疲労が蓄積し、筋力トレーニングのパフォーマンスの低下が発生することです。パフォーマンスの低下とは1RMの低下、作業量の低下、もしくはスクワットの速度など指定している場合はうまくこなせなくなるなど、筋力トレーニング自体の質の低下を引き起こします。

そもそもできたはずのトレーニングができなくなりますので、単純にトレーニングの効果が小さくなってしまいます。

慢性効果

慢性効果とは刺激が足りないケースがあることと細胞レベルで持久力トレーニングが筋力トレーニングによる適応を阻害することです。

刺激が足りないケース

競技年齢が長く、レベルも高い、そして筋力トレーニングや持久力トレーニングを続けていて頭打ちしているケースの場合は、より強い刺激が必要となります。

しかし、コンカレントトレーニングでは筋力、持久力をともに鍛えるため、どちらか一方に偏るわけではないので必要な刺激が入らないケースがあります

またコンカレントトレーニングを長く続ける場合は、同じような刺激が入る状態が続くので体が適応しきってしまい、続けていても伸び悩んでしまう場合もあります。

これは一般的なトレーニング全般にいえることです。

このような考え方を歯磨き理論とも言いますね。チューブの真ん中をずっと押しても、最初は中身が出てくる=結果が出てきますが、違う部分を押さないと中身が出てこないタイミングがあります。目新しいことをやれというのではなく、伸び悩んだら違うトレーニング方法をするなど刺激を変えてみましょうという話です。

 細胞レベルで適応を阻害

「持久力トレーニングはAMPKを活性化し・・・」はい、意味わからないと思いますので、一言で言います。

持久力トレーニングすると、筋肉分解されやすくなったり、筋肥大に時間がかかったり、筋力トレーニングの効果を打ち消すような効果が発生してしまいます。 

 

以下はもう飛ばしていいです。気になった人だけ読んでください。

この話は正直読んでも色々ピンと来なかったです。AMPK活性化→mTORC1不活性化→タンパク質の分解悪化、回復速度鈍化みたいな論調で記載されてましたが、細胞レベルの話なので全くピンと来なかったです。

ほんとにそうなのか不安だったので色々調べたらエビデンスとなっていた論文の他に以下の論文がヒットしました。 

www.ncbi.nlm.nih.gov

 

これによればAMPK活性化→mTORC1不活性化だけではなく、その逆もありうるようですね。まあ詳しくは読んでみてください。僕はAbstractとResultとあとちょこっとだけ読んでないので間違ってたら教えて下さい。去年出たばかりの論文ですし、逆がありうるか本当のところは細胞のみぞ知るところなので、僕は知りません。細胞くんに聞いてみてください。

 

干渉効果まとめ

ここまで色々話しましたがポイントとなる点をおさらいしてみましょう。

  1. 持久力トレーニングは神経筋に寄与する時間が長いほど悪影響を受けやすい
  2. 筋力トレーニングへは急性、慢性的に悪影響が出てしまう

①、②についてこれまで説明しましたが、この悪影響をなるべく受けないようにトレーニングするにはどのようにすれば良いでしょうか。今回はHIITと組み合わせたいという質問だったのでHIITと組み合わせて考えてみましょう。(やっと得意分野きた)

 

干渉効果を最小化する方法

干渉効果を最小化するには

  1. 強度を調整する
  2. 作業量を調整する
  3. 運動の方法を変更する
  4. レーニングの順序とトレーニング間の時間を調整する

 

HIITの強度を調整する

HIITのインターバルはいくつか種類があります。基本的に強度が高くなりがちですが、できるだけ、有酸素、無酸素だけを攻めるようなやり方にしましょう。

具体的には、RattleSnakeや30/15、40/20、30/30みたいなショートインターバル、もしくは3分〜5分ぐらいのロングインターバル(HIITの種類上はロング)です。

ショート、ロングインターバルは神経筋への寄与が少ないことからコンカレントトレーニングではできるだけこの2つに絞って行うことをおすすめします。

筋力トレーニングによる神経筋疲労が伴う状況では怪我のリスクも高まりますので、鍛えたい能力と違う可能性もあると思いますが、可能であればショートインターバルかロングインターバルにしてみてください。

実際のところはVO2MAX100% VS 120%で神経筋疲労を比較しても差がなかったりしますが、まだわからない部分が多いというのが正直なところです。

ただ、保守的な戦略としてショートかロングのインターバルをおすすめします。

HIITの作業量を調整する

週2回の持久力トレーニングは干渉効果が発生しないことが確認されています、一方で週3回以上の場合は干渉効果はが発生されていることが確認されています。

更なる研究が必要ですが、保守的な戦略は頻度を落とすことです。

これは正直、回復力とかによるので人によると思います。

運動の方法を変更する

これは身体の部分的に刺激を与えるのではなく、刺激を与える箇所を変える方法です。

筋トレで上半身を鍛えた場合は、主として下半身の筋肉を使用するランニングやサイクリングでトレーニングする。またその逆の方法をするようなやり方です。

レーニングの順序とトレーニング間の時間を調整する

まずこれまで言っているとおりに、神経筋疲労が筋力トレーニングに悪影響を与えるので、

順序は筋力トレーニング→持久力トレーニングの順です。1日でどちらも行う場合はこの順序にしてください。

そして重要なのが次の点でどのぐらいの時間を空けるのかです。

多くの研究で、神経筋疲労が伴う持久力トレーニングの後、例えばHIITの後には少なくとも6時間は疲労が持続され、24時間後には疲労が消滅することがわかっています。

つまり、HIITを午前中にしたら6時間空けてから午後に筋力トレーニングをする、そして可能であれば24時間空けてからトレーニングすることで急性効果を最小化することができます。

レーニングプランは以上のことを踏まえて作ってみてください。

 

栄養と回復戦略

お疲れ様でした。最後のトピックとなります。最後に忘れがちな栄養と回復の戦略について話します。

レーニングの成果を最大化するためには正しい栄養、回復戦略を立てることが非常に重要です。栄養、回復についてはトレーニングの刺激を適応につなげる非常に重要なプロセスです。コンカレントレーニング中には以下のことを気をつけて生活してみてください。

コンカレントトレーニングにおける栄養と回復のポイント

  1. 糖質、クレアチン、カフェインをトレーニング中に補給する
  2. タンパク質を意識的に摂取する
  3. 非栄養回復戦略(凍結療法など)を使用する
  4. 炭水化物の摂取は持久力トレーニングに対する適応を減衰させる可能性がある

 

糖質、クレアチン、カフェインをトレーニング中に補給する

レーニング中の神経筋疲労を減衰させるのに有用とされています。

栄養だけではない回復方法(凍結療法など)を使用する

こちらはトレーニング後の神経筋疲労をある程度減衰させ、その後の筋力トレーニング中にパフォーマンスを回復させる可能性があります。イナーメ棒きもちいんじゃ〜

タンパク質を意識的に摂取する

レーニング後のタンパク質摂取は、筋肉のタンパク質合成速度を上げ、慢性効果を少なくすることができます。

1日あたり1.2~1.7g/kgの体重、または1回の摂取で20g、摂取パターンは12時間の間に4~5回に分けて摂取するのが好ましいようです。

またタンパク質(27.5~40g)を睡眠前に摂取するのも良いようです。

ただ注意点としては実践のエビデンスが不足しているところです。コンカレントトレーニング中にこれらの方法でタンパク質を摂取したとしても、干渉効果を最小限に抑えることができる可能性はあります。しかし、コンカレントトレーニング中の絶対的なエビデンスはないというのが正直なところです。

炭水化物の摂取は持久力トレーニングに対する適応を減衰させる可能性がある

エネルギーが枯渇している状態のほうが代謝関連で刺激が入りやすいのですが、常に糖質を補給している状態だとそういう状態が作れません。まあそういう状態ってあまり作ることないと思いますが、ある意味コンカレントトレーニングにおける弊害と言えるかと思います。

 

最後に

筋力トレーニングはエアプなので、情報まとめた感じの投稿となってしまいました。

ただ、エビデンスとデータに基づき、自分でやったことないからこそ客観的な内容にはなっていると思います。

正直な話エビデンスがないことも多いですね。わからない、人によるというのが正しい答えのケースも非常に多くありました。

この記事が一人でも悩んでいる人のためになったらいいと思っております。

 

初めてトレーニング関連の事投稿するのでわかりづらいことあったら教えて頂けると助かります。

 

2021年もマージナルゲイン!!